加藤ちなみのホームページ

研究内容

前兆ニュートリノ

私の研究対象は、「超新星爆発」と呼ばれる太陽の8倍以上の重たい星が進化の最期に起こす爆発現象です。今現在も、どのような星が爆発を起こすのか、どのようなメカニズムで爆発が起きているのか、多くの未解明な点が残されています。私は、前者の問題を解決する方法の1つとして、「前兆ニュートリノ」の観測を提案しています。前兆ニュートリノは、爆発する前の星の中心部で多く作られるニュートリノのことで、その後の星の進化や爆発自体に大きな影響を与えます。もし、これらを観測することができれば、どのような環境(温度や密度など)でそのニュートリノがつくられたかを理論的に予想することで、星の中の状況を直接知ることができます。また、前兆ニュートリノの観測は超新星爆発が起こる「予兆」であり、爆発に伴う電磁波や重力波などの観測に向けたアラートとして、爆発メカニズムの解明にも重要になります。

  
様々な反応由来の前兆ニュートリノの光度曲線 (Kato et al. 2017)

超新星ニュートリノ

超新星爆発を起こすような重たい星の進化に前兆ニュートリノが重要であったように、超新星爆発自体にもニュートリノが重要な役割を果たします。具体的には、中心部で多くつくられるニュートリノは、外へと抜けていく途中で周りの物質にエネルギーを与えて爆発を助ける働きをします。このように爆発に伴って放出されるニュートリノを「超新星ニュートリノ」と呼びます。私の研究では、中心でつくられたニュートリノがどのくらいの頻度で周囲の物質と反応し、どのくらいのエネルギーを与えるのかをより詳細に計算することを目的としています。